糖尿病ガイドラインをもとに診断・原因・治療について解説


こんにちは。「かず内科クリニック 神戸垂水」 院長の中村和宏です。
ここは糖尿病が心配な方へ向けてのページです。

血液検査を長い間していない方は、いつのまにか糖尿病になっていることがあります。


かず内科クリニック 糖尿病

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糖尿病になりやすい生活習慣があります。


  • 運動不足
  • 夜更かし、寝不足
  • ストレス
  • たばこ
  • パンや、お米などの炭水化物が大好きな人
  • お菓子や、ジュースなどの糖分が好きな人
  • 時々、手や、足にしびれがある
  • 食後に眠くなる

上記の項目に一つでもあてはまる方は、「かず内科クリニック 神戸垂水」で血液検査をしてみませんか?

安心するためにも、一度検査をされませんか?
何もなければ、「よかったですね」と安心してお見送りすることができますので。


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運動をすることで血糖値を下げるインスリンの効きを良くします。
ストレスホルモンは血糖値を上昇させますし、ストレスによりファストフードやジャンクフードを食べたくなったり、ドカ食いややけ食いといった食生活の乱れにつながります。
睡眠不足はインスリンの効きを悪くし、食欲中枢が働かず過食につながることもあります。
たばこは血流を悪くし、糖尿病の合併症のリスクを上げてしまいます。インスリンの効きも悪くなります。

日本の糖尿病患者数は、生活習慣と社会環境の変化によって急速に増加していますが、糖尿病とはどのような病気なのでしょうか?
本記事では、糖尿病の定義、症状、検査、診断、原因、分類、病期、治療について解説します。
これを読めば、糖尿病の概略が分かります。
糖尿病の検査・治療をする際に役立ててみてください。




1.糖尿病とは

糖尿病は、インスリンというホルモンが不足したり、うまく働かなくなったりして、血液中にブトウ糖(血糖)が増える病気です。
インスリンとは、すい臓のβ細胞で作られるホルモンであり、血管から細胞内へ血糖を運び、エネルギー源として供給する働きをもちます。
結果として、血糖が消費され、血液中の血糖濃度(血糖値)が下がります。
このシステムがうまく機能しなくなるのが糖尿病です。(参考資料1)



2.糖尿病の症状

初期の糖尿病はほとんど全く症状がみられません。
1型糖尿病などで著しい高血糖の時に、以下のような症状がみられることがあります。


2-1. 合併症・併発症

糖尿病で高血糖が続くと血管がもろくなり、さまざまな合併症・併発症を起こします。



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3.糖尿病診断時の検査

糖尿病の診断時に行う検査を解説します。


3-1. 空腹時血糖値

前の食事から10時間以上経過した時の血糖値であり、一般には朝食を抜いて採血し、血液中のブトウ糖濃度を測ります。
空腹時血糖値の正常な値は70~110mg/dLです。
糖尿病では126mg/dL以上を示します。参考資料1)


3-2. ブドウ糖負荷試験

10時間以上絶食の後に、75gのブドウ糖を含む溶液を飲み、前後の血糖値を測ります。
正常の2時間値は140mg/dL未満です。
2時間値が200mg/dL以上の時に糖尿病と診断します。
140~200mg/dLの時は境界型と呼ばれ、糖尿病予備軍と考えられます。(参考資料1)


3-3. HbA1c (ヘモグロビンエーワンシー)

HbA1cは赤血球のヘモグロビンにブドウ糖が結合したものです。
ヘモグロビンの寿命は1~2カ月のため、HbA1cは過去1~2カ月の血糖値を反映します。
HbA1cの正常値は4.6~6.2%(NGSP)です。
糖尿病では6.5%以上を示します。参考資料1)


3-4. 尿糖

尿中に排泄されるブドウ糖を調べる検査です。
正常では尿糖が陰性です。
血糖値が170mg/dLを超えると尿糖が陽性を示します。参考資料1)


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4.糖尿病の診断

血糖に関連した検査値と症状・家族歴・体重の変化などを合わせて糖尿病と診断します。

4-1. 糖尿病型

血糖に関連した以下の検査のうち、どれかを満たせば糖尿病型と判定します。


4-2. 診断基準

1)糖尿病型を2回確認する(1回は血糖値で確認)

2)血糖値における糖尿病型を1回確認+慢性高血糖症状の確認

3)過去に糖尿病と診断されたことがある


慢性高血糖症状とは、前章で示した症状もしくは糖尿病性網膜症のことです。
診断基準に当てはまらなくても、異常値がみられて糖尿病の疑いがあれば、3~6カ月後に再検査します。(参考資料2)


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5. 糖尿病の原因・分類

糖尿病は原因によって以下のように分類されます。


5-1.1型糖尿病

すい臓のβ細胞が破壊されてインスリンの分泌が著しく低下し、高血糖となる糖尿病です。
持って生まれた遺伝的要因に、ウイルス感染などの誘因が加わって発病します。
また多くの1型糖尿病の方には、免疫異常から自分の組織を攻撃してしまう自己免疫疾患がみられます。

膵頭関連自己抗体が証明された場合、自己免疫性1型糖尿病と呼びます。
自己抗体が証明できない場合、特発性1型糖尿病と呼びます。
1型糖尿病は急激に血糖値が上昇して、意識障害など重篤な症状を示します。
そのため初期からインスリンによる治療が必要です。(参考資料2)


5-2. 2型糖尿病

インスリンが軽度低下するとともに、インスリンが効きにくい体質がみられて高血糖になる糖尿病です。
さまざまな遺伝的要因に、過食、運動不足などの生活習慣、およびその結果としての肥満が環境因子として加わり発病します。
肥満により内臓脂肪が増えることで、インスリンが効きにくくなる物質が生産されて、高血糖を起こします。(参考資料2)


5-3. 妊娠糖尿病

妊娠中に初めて発見あるいは発症した糖尿病です。
妊娠糖尿病を起こしやすいのは、家族に糖尿病の人がいる、肥満がある、巨大児を出産したことがある、高齢出産の人などです。
妊娠中の高血糖は母体および胎児に影響しやすいため、厳格な治療が必要です。
妊娠糖尿病は出産後にしばしば改善します。(参考資料2)


5-4. その他の糖尿病

その他、すい臓疾患、肝疾患、内分泌疾患、薬剤、感染症などにより糖尿病を起こすことがあります。(参考資料2)



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6.糖尿病の病期

インスリンの作用不足の程度によって、糖尿病の病期を分類します。


1)インスリン療法が不要のもの

2)血糖コントロールのためインスリン療法が必要なもの

3)ケトーシスの予防や生命維持のためにインスリン療法が必要なもの


病期の数値が大きくなるほど、糖代謝異常が悪化した状態です。
逆に糖代謝が改善すれば、病期の数値は小さくなります。(参考資料2)



7. 糖尿病治療の目標・指針

糖尿病を治療する際の目標および指針を示します。

7-1. 糖尿病治療の目標

参考資料2)


7-2. HbA1cのコントロール目標値

具体的な血糖の目標値は、できる限り正常値を設定します。
ただし年齢、発症してからの年月、合併症の程度、低血糖のリスク、サポート体制などを考慮して設定することが必要です。


血糖値の正常化を目指す際の目標値:6.0未満

合併症予防のための目標値:7.0未満

治療の強化が困難な際の目標値:8.0未満


※ ①は食事療法・運動療法のみでコントロールが可能な場合、または薬物療法中でも低血糖のリスクが低い場合の目標値です。

※ ②の場合、空腹時血糖値130mg/dL未満、食後2時間血糖値180mg/dL未満を目標値に設定します。

※ ③は低血糖のリスクが高い場合、その他の理由で治療の強化が難しい場合の目標値です。

参考資料2)


7-3. 糖尿病治療の指針

インスリン依存状態、高血糖による昏睡、妊娠時、全身管理が必要な手術時、重症感染症などはインスリン療法の絶対適応です。
経口血糖降下薬およびGLP-1受容体作動薬で血糖値がコントロールできない場合、インスリンの相対的適応です。

インスリンの非依存状態では、食事療法・運動療法を1~3カ月行い、良好なコントロールが得られない場合、経口血糖降下薬およびGLP-1受容体作動薬で治療します。
さらにコントロール不良の場合、インスリン療法を開始します。(参考資料2)



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8.糖尿病の食事療法

糖尿病 食事療法

1型糖尿病および2型糖尿病の血糖コントロールに対して食事療法が有効です。(参考資料2)


8-1. エネルギー摂取量制限

肥満を伴う2型糖尿病では、内臓脂肪の増加によるインスリン抵抗性がみられます。
体重のコントロールによって内臓脂肪が減少すれば、糖代謝が改善するはずです。
総エネルギー摂取量を制限することにより、5%以上の減量を行えば、血糖が改善し、さらに10%以上の減量により、HbA1cの低下を認めると報告されています。
したがって肥満を伴う2型糖尿病の場合、エネルギー摂取量の制限が推奨されます。

なお肥満を伴わない2型糖尿病および1型糖尿病では、エネルギー摂取量の制限による血糖コントロールの効果は不明です。(参考資料2)


8-2. 炭水化物制限

一般的には、1日に脳が消費する糖質の量から推測すると、炭水化物は130g/日が必要とされます。
しかし糖新生やグリコーゲンの分解により糖質がつくられますし、脳はエネルギー不足におちいるとケトン体を利用します。
したがって炭水化物の最低限の必要量は不明です。

2型糖尿病の人で6カ月間、炭水化物を130mg/日未満(約125mg/日)に制限することにより、体重は変化せず、HbA1cと中性脂肪が低下し、有害事例はなかったと報告されています。
総エネルギー摂取量が適切であれば、6~12カ月以内の炭水化物制限が血糖改善に有効です。
ただし極端に炭水化物を制限することは安全性を保障するエビデンスがないため、勧められません。(参考資料2)


8-3. 応用カーボカウント

カーボカウントとは、食事中の炭水化物量をもとに血糖を管理する食事療法です。
通常は炭水化物の量は糖質の量と同じとみなします。
応用カーボカウントは、1単位の追加インスリンで摂取できる糖質量を決め、食事中の糖質量に応じて追加するインスリンの量を調節する方法です。(参考資料3)
1型糖尿病の血糖コントロールには応用カーボカウントが有効です。
通常の食事療法の場合と比べてHbA1cの改善を認め、低血糖の出現率も変わらないと報告されています。(参考資料2)


8-4. 低GI食

低GI食とは、食品に含まれる糖質の吸収が緩やかな食品です。
GI(グリセミックインデクス)は糖質の吸収度合いを示す値で、GI値が低いほど吸収が緩やかです。
2型糖尿病において低GI食の効果でHbA1cが低下すると報告されています。
2型糖尿病の血糖コントロールのために低GI食は有効です。
一方で1型糖尿病における低GI食の効果は立証されていません。(参考資料2)


8-5. 食物繊維

食物繊維は野菜、穀物、大豆、果物、海藻などに多く含まれます。
2型糖尿病において3~12週間の食物繊維の高摂取により、空腹時血糖値とHbA1cが低下したと報告されています。
2型糖尿病の血糖コントロールのために食物繊維摂取が有効です。(参考資料2)


8-6. 果物

果物は糖質(ブドウ糖や果糖)、食物繊維を含み、低GI食です。
果糖は1日90g未満の摂取であればHbA1cを改善させます。
しかし果物の摂取によるHbA1cへの効果を検討した報告はありません。
血糖コントロールに対する果物の影響は十分に確認されていない状況です。
またショ糖を添加した果糖飲料の摂取により、血糖コントロールは悪化する可能性が示唆されています。(参考資料2)


8-7. 非栄養性甘味料

非栄養性甘味料はショ糖やコーンシロップなどの甘味料と比較して、1g当たりの甘さが強く、エネルギーが低い甘味料です。
非栄養性甘味料を使用することで、総エネルギー量を減らすことができると考えられますが、血糖コントロールへの影響は十分に確認されていません。(参考資料2)



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9.糖尿病の運動療法

糖尿病 運動療法

2型糖尿病の血糖コントロールに、有酸素運動、レジスタンス運動が推奨されます。
1型糖尿病の血糖コントロールに、運動療法が有効かどうかは一定の見解が得られていません。
運動療法は、1型、2型糖尿病を問わず、心血管系のリスクファクターを改善します。
有酸素運動は心肺機能を、レジスタンス運動は骨格筋量、筋力を向上させるために推奨されます。


9-1. 運動療法を始める際の注意点

運動療法を始める際に、合併症や身体状態を把握して、運動制限の必要性を検討してください。
とりわけ心血管系のリスクファクターに関連して、一般的に無症状の人は軽度から中等度の運動であれば運動制限は必要がありません。
ただし普段よりも強度の運動をする際には、主治医と相談してください。


9-2. 運動療法の基本

有酸素運動は、週に150分以上、しかも運動をしない日が2日以上続かないようにしましょう。
レジスタンス運動は連続しない日程で週に2~3回行うことが勧められます。
禁忌がなければ、有酸素運動、レジスタンス運動の両方を行うことが勧められます。

運動ばかりでなく、日常の身体活動の量を増やすことも必要です。
座位の時間が長くならないようにし、合間に軽い運動をしましょう。(参考資料2)



10. 糖尿病の経口薬・インスリン以外の注射薬

インスリン療法の絶対適応の糖尿病以外で、十分な食事療法、運動療法を行っても血糖コントロールができない場合、血糖降下薬の適応です。


10-1. 血糖降下薬の種類

血糖降下薬として、10系統の薬が使われています。


10-2. 血糖降下薬の選び方

血糖降下薬は、それぞれの薬理作用の特性、糖尿病の病態、糖尿病の併存症、患者背景(コンプライアンスなど)に応じて選択されます。
単剤をなるべく少量から開始し、血糖コンロールが不十分な場合、徐々に増量するか作用機序の異なる血糖降下薬を追加します。
それでも血糖コントロールができない場合、インスリン療法を併用、もしくはインスリン療法へ切り替えます。(参考資料2)


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11. 糖尿病のインスリン療法

7-3.で解説したインスリンの絶対適応、相対的適応の糖尿病では、インスリン療法が行われます。


11-1. インスリン製剤の種類

インスリン製剤は、超速攻型、速攻型、中間型、持続型溶解に分類されます。
さらに2種類のインスリン製剤が混合された混合型、配合溶解インスリン製剤に分類されます。
空腹時の血糖値を一定に保つために必要な「基礎インスリン」の補充の目的で、主に持続型溶解インスリン製剤が用いられます。
食後に分泌される「追加インスリン」の補充の目的で、主に超速攻型インスリン製剤が用いられます。


11-2. インスリン療法の副作用

インスリン療法の副作用には、低血糖、体重増加、網膜症の悪化、注射部位の皮下硬結、インスリンアレルギーなどがあります。
57~65%の確率でインスリン抗体が産生されますが、インスリンの作用に影響することはまれです。


11-3. 1型糖尿病に対するインスリン療法

1型糖尿病では、インスリン頻回注射法(3~4回/日)あるいはインスリンポンプを用いた持続皮下インスリン注入療法に、血糖自己測定などを併用し、インスリンの単位数を自己調節する強化インスリン療法が行われます。
1型糖尿病に強化インスリン療法は、細小血管症(網膜症、腎症、神経障害)の発症予防や進行を抑制するために有効です。
さらに大血管症の発症予防にも有効です。


11-4. 2型糖尿病に対するインスリン療法

経口血糖降下薬やGLP-1受容体作動薬で血糖が十分にコントロールできない場合、しばしば持続型溶解インスリンを1日1回注射する治療が行われます。
それでもコントロールが難しい場合、1日のうちで食後血糖値が最も高くなるときに超速攻型インスリンを注射します。
さらに血糖コントロールが不十分な場合、段階的に超速攻型インスリンの注射回数を増やします。
必要に応じて強化インスリン療法を行うこともあります。

その他、配合溶解製剤あるいは混合型インスリンを1日2回注射する方法もみられます。
また基礎インスリン分泌が保たれている場合、超速攻型インスリンを1日3回毎食直前に注射する方法もあります。

2型糖尿病に対する強化インスリン療法は、細小血管症の発症・進行予防に有効です。(参考資料2)


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12. まとめ

糖尿病は、インスリンというホルモンが不足したり、うまく働かなくなったりして、血液中にブトウ糖(血糖)が増える病気です。
原因により1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病、その他の糖尿病に分類されます。
空腹時血糖値・ブドウ糖負荷試験・随時血糖値・HbA1cなどにより糖尿病と診断されます。
糖尿病の治療目標は、高血糖により起こる代謝異常を改善し、合併症・併発症を予防することです。
そのために食事療法、運動療法、経口薬、インスリン療法などで治療します。



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参考資料

1)糖尿病の解説資料|糖尿病情報センター

2)糖尿病診療ガイドライン2024|日本糖尿病学会

3)カーボカウントについて|広島県糖尿病協会



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