認知症ガイドラインに沿って原因・症状・治療・予防を解説
こんにちは。「かず内科クリニック 神戸垂水」院長の中村和宏です。
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参考
軽度認知障害(MCI)とは
- 物忘れがひどいと自覚があり、他の人からもそれを指摘されている
- 記憶検査で年齢に比して異常な記憶力低下がある
- 全般的な認知機能は正常
- 運転や家計など日常生活の能力は保たれている
- MCIの人は健康な人より、認知症の移行率が高い。
高齢化社会の進行につれて認知症は増加傾向にあります。
では認知症とはどのような病気なのでしょうか?
本記事では、認知症の定義、有病率、原因、病理、症状、評価するための尺度、診断、治療、合併症への対応、予防、軽度認知障害について解説します。
これを読めば、認知症の概略が分かります。
認知症を診断、治療する際に役立ててみてください。
1.認知症とは
認知症とは、記憶、判断力などの認知機能が低下して、日常生活、社会生活に支障をきたした状態です。
DSM-5による認知症の診断基準(2013)の要約を示します。
- A. 複雑性注意、遂行機能、学習および記憶、言語、知覚と運動、社会的認知のうち一つ以上の領域において、以前よりも有意な認知の低下がある
- B. 毎日の活動において、認知欠損が自立を阻害する
- C. 認知欠損はせん妄によらない
- D. 認知欠損は他の精神疾患によらない
※ 複雑性注意とは、複数の刺激の下で注意を集中することです。
複雑性注意が低下すると、たとえばテレビを見ながら会話できなくなります。
※ 遂行機能とは、目的を持った一連の活動を有効に行う機能です。
遂行機能が低下すると、たとえば料理の段取りができなくなります。
※ 社会的認知とは、他者の意図や性格を理解する、対人関係の認知機能です。
社会的認知が低下すると、たとえば会話中の空気を読み取れなくなります。
1-1.認知症と区別すべき病態
認知症とよく似た症状を示し、認知症の診断に際して区別が必要な状態を示します。
- 加齢に伴う正常な認知機能低下
- せん妄
- うつ病
- 精神遅滞
- 統合失調症など
2.認知症の有病率
2010年代前半の日本における65歳以上の高齢者の認知症有病率は約15%です。
アルツハイマー型認知症を中心にして認知症は増加傾向にあります。
また以前と比べて認知症者の生存期間が延長している可能性が報告されています。
3.認知症の原因
認知症はさまざまな病気が原因となって起こる症候群です。
認知症の原因となる病気と、その病気の原因を示します。
アルツハイマー病
加齢に伴う脳の変化、遺伝因子、環境因子、生活習慣因子などが原因といわれます。
前頭側頭型変性症
今のところ原因はあきらかではありません。
レビー小体病
今のところ原因はあきらかではありませんが、加齢に伴う脳の変化と考えられています。
血管性疾患
生活習慣病によって起こる脳血管障害です。
外傷性脳損傷
転倒や転落などによって脳が損傷を受けます。
物質・医薬品によるもの
ベンゾジアゼピン系睡眠薬・抗不安薬、抗精神病薬、抗パーキンソン病薬などが原因になることがあります。
HIV感染
いわゆるエイズです。
ブリオン病
普通の動物がもっているプリオンというタンパク質が異常化し、それを食べることで発病します。
たとえば狂牛病が有名です。
パーキンソン病
加齢に伴う脳の変化、遺伝因子が原因と考えられています。
ハンチントン病
染色体に含まれるハンチントンという遺伝子の異常で起こります。
その他
4.認知症の病理
症状発現の直接の原因は、中枢神経系の認知機能に関わる部位の神経細胞・ネットワークの消失や機能低下です。
病理学的背景として、変性疾患、脳血管障害、感染症、炎症、腫瘍などがありますが、変性疾患が高頻度です。
大半の変性疾患は、脳細胞への異常なタンパク質の蓄積が病態の中核をなします。
5.認知症の症状
認知症では複数の認知機能に障害がみられ、以下のような症状がみられます。
全般性注意障害
一つのことに集中できず、長時間作業できなくなる
健忘
過去の経験を部分的または完全に思い出せなくなる
失語
会話や文字で表現したり理解したりすることが難しくなる
視空間認知障害
視力は正常なのに、目で見えるものの位置や向きが分かりにくくなる
失行
四肢の麻痺はないのに、もともと身についていた動作がうまくできなくなる
遂行機能障害
目的を持った一連の活動、たとえば料理の段取りなどができなくなる
5-1. 行動・心理症状
behavioral and psychological symptoms of dementia (BPSD)とよばれます。
認知機能障害を基盤にして、身体的要因、環境的要因、心理的要因などの影響を受けて出現する症状です。
行動面の症状
焦燥性興奮、攻撃性、脱抑制(衝動や感情を抑えられなくなること)
心理症状
不安、うつ、幻覚、妄想
5-2. 原発性進行性失語
変性性認知症のうち、失語症で初発して、経過を通じて失語症が目立つタイプです。
6.認知症を評価する尺度
認知症の状態、重症度などを評価する際に使われる尺度を示します。
- スクリーニングには Mini Mental State Examination(MMSE)
- BPSDの評価には Neuropsychiatric Inventory (NPI)
- ADLの評価には Physical Self-Maintenance Scale (PSMS)
- 全般的重症度の評価には Clinical Dementia Rating(CDR)
- 認知症のQOLを評価する標準的な尺度はありません
7.認知症の診断
病歴、神経学的診察、認知機能検査から認知症と診断し、画像診断などから認知症の病型を判定します。
この際に治療が可能な認知症を見逃さないよう注意が必要です。
7-1. 病歴と身体的および神経学的診察
医師が問診、診察により、認知症の有無、症状、重症度を把握します。
服薬内容によっては薬剤性認知機能低下に注意が必要です。
7-2. 認知機能検査
認知症を評価する尺度として前述しました。
7-3. 形態画像検査(CT/MRI)
脳萎縮、脳梗塞、脳腫瘍などの有無を調べます。
7-4. 脳機能画像検査
脳血流SPECT、ドパミントランスポーターシンチグラフィ、MIBG心筋シンチグラフィなどで脳の血流低下などを調べます。
7-5. 血液・脳脊髄液検査
内科的疾患に伴う認知症、中枢神経の感染症、腫瘍、炎症性疾患を鑑別します。
7-6. 遺伝子検査
家族性認知症の原因となる遺伝子が複数同定されています。
被験者の同意のもと、遺伝子検査を行い、遺伝子変異を同定することで診断が可能です。
必要に応じて遺伝カウンセリングを行います。
8.認知症の治療
認知症の治療は、認知機能の改善と生活の質(QOL)の向上を目的として、薬物療法と非薬物療法を組み合わせて行います。
BPSDには非薬物療法を薬物療法より優先的に行うのが原則です。
向精神薬を使用する場合は、投薬の必要性と有害事象を繰り返し評価します。
8-1. 薬物療法
高齢者では有害事象が生じやすいため、薬物療法を開始するときには、必要性を十分に検討することが必要です。
服薬アドヒアランス(積極的に治療する意思)や薬剤の適応症を確認し、患者や介護者に十分な説明を行ったうえで投薬を開始します。
8-1-1. 高齢の認知症者への薬物療法の注意点
高齢者の認知症者へ投薬する際の注意点を示します。
- 薬によっては若年者の1/2 ~ 1/4量から開始する
- 服薬方法は簡略にする(1日1回など)
- 多剤服用をできるだけ避ける
- 薬が効いているかどうかの評価は短期間のうちに行う
- 定期的に薬剤の種類、投与量、長期投与の必要性を評価する
- 介護者が服薬状況を確認する
8-1-2. 向精神薬による治療の有害事象
一般的に過鎮静、低血圧、転倒、嚥下障害、便秘、悪性症候群に注意が必要です。
死亡リスクの上昇とも関連します。
薬剤別の有害事例を示します。
オランザピン・クエチアピン
耐糖能異常
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)やセロトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(SNRI)
悪心、軟便、セロトニン症候群
ベンゾジアゼピン系抗不安薬や睡眠導入薬
転倒、誤嚥、傾眠、呼吸抑制
コリンエステラーゼ阻害薬
嘔気、嘔吐、下痢
NMDA受容体拮抗薬
傾眠、めまい、便秘、頭痛
これらの有害事象の治療の原則は、薬剤の減量または中止することです。
8-2. 非薬物療法
主にデイサービスにおいて以下のような介入が行われます。
認知機能訓練
認知機能改善の可能性あり
認知刺激
認知機能改善の可能性あり
運動療法
ADL改善および認知機能改善の可能性あり
回想法
個人療法で気分・幸福感の改善、集団療法でうつの改善の可能性あり
音楽療法
不安に対しては中等度、抑うつや行動障害に対してはわずかな効果を認める
日常生活動作訓練
ADL改善の可能性あり
8-3. 不安に有効な治療法
安心させる声かけや態度で接することが原則です。
音楽療法と認知行動療法が有効である可能性があります。
以上の治療で効果が不十分な場合、リスペリドン、オランザピン、クエチアピンの投与を検討します。
8-4. 焦燥性興奮に有効な治療法
症状が生じた理由や原因を考え、それを解決するように心がけることが重要です。
介護者は認知症者との適切な会話スキルを学び実践します。
グループ活動、音楽療法、タクティールケア、マッサージの有効性が示されています。
リスペリドン、アリピプラゾールなどの非定型抗精神病薬も有効です。
抑肝散、チアプリド、カルバマゼピン、セルトラリン、エスシタロプラム、トラゾドンの使用も検討できます。
8-5. 幻覚・妄想に有効な治療法
受容的に接して不安を軽減させることが原則です。
特定の人が妄想の対象になっている場合、その人との距離をおくことを検討します。
服用薬により症状がでている可能性も考慮が必要です。
アルツハイマー型認知症において、これらの方法で改善しない場合、リスペリドン、オランザピン、クエチアピン、アリピプラゾールなどの非定型抗精神病薬を検討します。
あるいは抑肝散を検討してもよいでしょう。
8-6. うつ症状に有効な治療法
認知症者のおかれている状況を考慮し受容的に接します。
ソーシャルサポートの利用、回想法、音楽療法が有効です。
これらの治療で改善しない場合、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)やセロトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(SNRI)などの抗うつ薬の使用を考慮します。
8-7. 徘徊に有効な治療法
徘徊の理由・原因を認知症者の立場になってなって考え対処します。
徘徊の頻度が高い場合、発見されやすくする対策を講じておくべきです。
リスペリドン、チアプリドの処方を考慮してよいでしょう。
これらの対応でも困難な場合、施設入所サービスの利用を検討します。
8-8. 性的逸脱行為に有効な治療法
まず性的逸脱行為を助長する環境要因を排除します。
気を紛らわせる代替行動を導入するのも効果的です。
脱抑制を増悪しうるベンゾジアゼピンなどの薬剤を使用している場合、その薬剤の中止を検討します。
薬物療法としては、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の使用を検討します。
8-9. 暴力・不穏に有効な治療法
焦燥性興奮の治療に準じて治療します。
8-10. 睡眠障害に有効な治療法
まず睡眠障害の正確な把握と鑑別診断を行います。
影響しうる疼痛、頻尿、掻痒などの身体症状、心理・社会的ストレス、嗜好品、薬剤があれば改善が必要です。
そのうえで日光浴や身体活動を促し、睡眠環境の改善を図ります。
トラゾドン、リスペリドンの使用を検討してもよいでしょう。
8-11. アパシーに有効な治療法
個々の認知症者に合わせた治療的なアクティビティの有効性が示唆されています。
治療薬としては、コリンエステラーゼ阻害薬が第一選択で、メマンチンも考慮してよいでしょう。
9.認知症の合併症への対応
認知症に合併しやすい、せん妄、てんかん、嚥下障害などの治療法を解説します。
9-1. せん妄の治療
直接因子と誘発因子の治療・除去を行います。
これらの対応で改善しない場合、クエチアピン、ベロスピロン、リスペリドン、オランザピンなどの非定型抗精神病薬による治療を考慮します。
せん妄の原因精査、円滑な治療の実施、本人の安全確保のために、入院治療も考慮します。
9-2. けいれんを含めたてんかんの対応
旧来の抗てんかん薬は認知機能を悪化させる有害事例が報告されており注意が必要です。
新規抗てんかん薬は少量から開始し徐々に増量すれば使用できます。
9-3. 嚥下障害の対応
誤嚥性肺炎の発症予防には、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、アマンタジン、シロスタザールの投与、カプサイシン、口腔ケア、嚥下リハビリテーション、顎引き嚥下、食後1時間の座位保持、インフルエンザ・肺炎球菌ワクチンなどが有効です。
9-4. 摂食障害・低栄養の対応
アルツハイマー型認知症では、食行動の変化、食欲低下、嚥下障害、自律神経障害のため摂食困難になることが考えられます。
栄養評価、誤嚥の予防、服用薬の見直し、経口摂取および経管栄養の是非について検討することが必要です。
9-5. サルコペニア・フレイルの対応
抵抗運動resistance training(いわゆる筋トレ)は、認知症に合併したサルコペニア・フレイルの改善に有用な可能性があります。
9-6. 転倒・骨折の対応・予防
基礎疾患の治療、薬物の調整、運動、歩行とバランス訓練、補助具を装着しての訓練、環境整備、家庭環境への適応訓練を行います。
また骨粗鬆症の治療が必要です。
9-7. 浮腫の対応
長期臥床による不動や低栄養への対処、基礎疾患の治療、皮膚の感染症や褥瘡の治療によって対処します。
抑肝散、抗精神病薬などによる薬剤性浮腫の可能性に留意が必要です。
9-8. 排尿障害の対応
認知症者では機能性尿失禁と切迫性尿失禁が多くみられます。
泌尿器科的な基礎疾患を否定したうえで、行動療法を行えば効果が期待できます。
9-9. 便秘の対応
器質性疾患の鑑別を行い、食事、運動で改善しない場合、下剤を使用します。
9-10. 糖尿病、高血圧など生活習慣病の対応
糖尿病のコントロールは、認知症や身体機能障害の程度、併発疾患、フレイルなどを考慮して個別に設定します。
認知症を合併した高血圧患者では、過度に降圧しないように治療することが必要です。
10.認知症の予防
認知症の予防には、危険因子である高血圧、糖尿病、脂質異常症を治療して、食事療法、運動療法、禁煙などを行います。
10-1. 認知症の危険因子・防御因子
認知症の危険因子は、加齢、遺伝的危険因子、血管性危険因子(高血圧、糖尿病、脂質異常症)、生活習慣関連因子(喫煙など)、関連する疾患(メタボリック症候群、睡眠時無呼吸症候群、うつ病と双極性障害)などです。
防御因子は、適度な運動、食事因子、余暇活動、社会的参加、精神活動、認知訓練などです。
後天的な要素として教育歴、頭部外傷などが含まれます。
10-2. 高血圧の管理
中年期の高血圧は認知症の危険因子であり積極的に治療すべきです。
10-3. 糖尿病のコントロール
糖尿病はアルツハイマー型認知症、血管性認知症、混合型認知症の危険因子であり、特に中年期の血糖管理が認知症発症予防に必要です。
10-4. 脂質異常症の治療
中年期の脂質異常症は認知症、特にアルツハイマー型認知症の危険因子です。
スタチンは認知症のリスクを軽減する報告があります。
中年期の脂質コントロールが望まれます。
高齢者の血清コレステロール値の認知症への影響は不確定であり、高齢者へのスタチン投与は慎重を要します。
10-5. 喫煙は認知症を増悪させるか
喫煙は血管認知症、アルツハイマー型認知症などを含めた認知症を増悪させるため、禁煙が必要です。
10-6. 運動は認知症予防に有効か
定期的な運動は認知症やアルツハイマー型認知症の発症を低下させると報告されています。
認知症のない高齢者や軽度認知障害を有する高齢者での運動は、認知機能低下を抑制したという報告があります。
10-7. 認知症と関連する食事因子
炭水化物を主とする高カロリー食や低タンパク食および低脂肪食は、軽度認知障害や認知症のリスクを高める傾向があります。
バランスのとれた食事が大切です。
10-8. 適度な飲酒は認知機能の低下や認知症の予防に有効か
適度な飲酒は認知症の予防になるという報告があります。
ただし適度な飲酒量には人種差、個人差があるので注意が必要です。
もちろん飲酒できない人には勧められません。
10-9. 睡眠時無呼吸症候群は認知機能を悪化させるか
睡眠時無呼吸症候群は、血管性危険因子であるとともに、認知機能低下とも関連がありまります。
持続的陽圧呼吸による治療は認知機能低下を改善します。
10-10. うつ病と双極性障害は認知症の危険因子か
うつ病と双極性障害は、高齢期における認知症発症リスクの増加と関連しているため、適切な治療が必要です。
11.軽度認知障害
軽度認知障害mild cognitive impairment(MCI)の有病率は、65歳以上の高齢者で15~20%です。
罹患率は20~50人/1,000人/年と推定されます。
軽度認知症から認知症へ移行する率は、およそ5~15%/年です。
軽度認知症から正常へ移行する率は、およそ16~41%です。
軽度認知症を検出するためには、Montreal Cognitive Assessment-Japanese versin (MoCA-J)が推奨されています。
12.まとめ
認知症とは、記憶、判断力などの認知機能が低下して、日常生活、社会生活に支障をきたした状態です。
2010年代前半の日本における65歳以上の高齢者の認知症有病率は約15%です。
認知症はさまざまな病気が原因となって起こる症候群です。
認知症では複数の認知機能が低下し、健忘、失語、視空間認知障害、失行、遂行機能障害などの症状がみられます。
病歴、神経学的診察、認知機能検査から認知症と診断し、画像診断などから認知症の病型を判定します。
認知症の治療は、認知機能の改善と生活の質(QOL)の向上を目的として、薬物療法と非薬物療法を組み合わせて行います。
認知症の予防には、危険因子である高血圧、糖尿病、脂質異常症を治療するため、食事療法、運動療法、禁煙などを行います。
以上、認知症について解説しましたので、診断・治療の際に役立ててみてください。
安心するためにも、一度検査をされませんか?
何もなければ、「よかったですね」と安心してお見送りすることができますので。